赤坂という立地にありながらリーズナブルな価格で台湾料理を提供している『阿里城 赤坂パークビル店』。“仕事帰りでも気軽に立ち寄ってもらえるように”というコンセプトから、豊富なメニューを小皿料理で提供しているのも人気の要因だ。
生稲晃子:こちらが9店舗目のお店という事ですが、成功された要因はなんだと思われますか。
城山鈴実:平成13年に桜木町で1店舗目を立ち上げてからここまで成長した最初のきっかけは、お客様の口コミのお蔭なんですよ。お客様に支持していただいた大きな要因は、日本の方に食べやすい味を提供した事ではないでしょうか。もともと日本人の食べやすい中華料理は、台湾料理か広東料理だといわれるのですが、それをさらに日本人好みに少しアレンジしました。そして夏なら麺を出したり、日本の四季に合わせた料理を提供してきた事。また、大きなお皿を皆で分け合うという中華料理のイメージを変え、値段を下げるために小皿でたくさん召し上がれる形にした事も気に入っていただけたようです。日本の文化は取り分けるのが苦手なようで、自分の分だけ料理が出てくる方が安心するようですね。
生稲:中華料理って大勢で食べるイメージですけれど、たくさん取ったら申し訳ないとか、案外気を使っているかもしれません。それに小皿だといろんな種類がいただけていいですよね。料理人も台湾の方なのですか。
城山:はい。台湾と中国からスカウトしてきて、当店の味を教えました。広東鍋という大きな中華鍋が本当に重くて、1日振り続けるには専門の技術が必要なのですね。シャキッと炒めるためにはスピードがとても大切なので、本場から熟練した料理人を連れてくるのです。
生稲:そうしたお味とお値段へのこだわりが、成功の秘訣のようですね。
城山:お一人1,000円もあれば、2,3品頼めて1杯飲めるリーズナブルな店は、ここ赤坂ではあまりないと思います。ただ出店して1ヶ月なので、これから宣伝して認知度を上げたいですね。この店舗は、一ツ木通りから坂を上がる形の旧赤坂の高級住宅地の中にあって、赤坂サカス側の賑わいとは反対側になっています。
生稲:TBSも反対側ですよね。上からは見えていると思うんですけれど。でも、やっぱりこれだけお安くて、食べて飲めるのは嬉しいです。赤坂という場所で「このお値段で本当にいいの?」って思いますもの。
城山:赤坂は特徴のある店ならお客様もわざわざ足を運ぶ町だと思うんですよ。だからこの店だけ特別に料理やシステムを変えたり、ビアガーデンのようなものもできたらと考えています。
生稲:ここなら緑もあって、外で飲めたら最高ですね。
城山:そうですね。中華料理店でのチェーン展開は難しいといわれています。塩何グラムというレシピは作らず、すべて料理人の感覚で調理するからです。ですからシステム化して全国のチェーン店で全部同じ味を出すという事ができません。私どもの各店舗でも味が少しずつ違います。しかし、違いはあってもどこの店のお客様にも納得いただける味を提供できるようにしなければならないでしょう。
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